トレモロホリディ
カランという音と共に中に入ると、「いらっしゃい」と元気な女性の声が店内に響いた。


「あの、一人なんですが」


そう伝えると、女性はにっこり笑ってカウンター席に促してくれた。


席に座り、早速目の前にあるメニュー表を手に取ると「〇〇定食」の文字が沢山目に入った。


なるほど。


ここって定食屋さんなんだ。


しかも、結構リーズナブル。


「何にする?」


40代くらいかと思われるその女性が、テーブルに水を置きながら注文を聞いてくれた。


「えっと、ハンバーグ定食で」


さっき男性が食べていたのを見たけど、ものすごく美味しそうだったもの。


「ハンバーク定食ね。少々お待ちくださいねー」


そう言ってその人は、暖簾を隔てた厨房へと入って行った。
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