トレモロホリディ
「そうだ、ミナちゃん」


ミナト君が急に話し始めたから、ドキッと心臓が跳ねた。


「あの猫さ、飼ってくれる人が見つかったんだ」


「えぇっ、そうなの?」


あの猫ちゃん、ついに引き取られちゃうんだ…。


「明日俺の仕事が終わったら、引き渡しに行く事になってる」


「そう…」


茶虎で可愛いし、ミナト君にすごくなついていたのに…。


「もう、会えないんだね…」


「う…ん」


「なんか…。


寂しいね」


ポツリそう呟くと、ミナト君は黙り込んでしまった。


結局そのまま、


ほなみまで何も会話はなかった。

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