トレモロホリディ
「ミナ。

お前、なんか綺麗になったな」


「え……?」


「垢抜けたっていうか、この辺りのラインとか、やけに色気が出て来たじゃん」


そう言って私の腰に触れる先輩。


「ちょっ、やだっ」


慌てて腰を引いたけど、その手でぐいっと抱き寄せられた。


「これは予想外でラッキーだったな。

マジ会いに来て良かったよ。

久しぶりに……、する?」


する?


するって。


ま、まさか……!


「な、なな何言ってるんですかっ。

私はそんなこと、先輩とする気はありません」


なんで今さら私が先輩とそんなことしなくちゃいけないのさ!


「テクニックは前より上がってると思う。

気持ち良くしてやるからさ」


そう言って先輩が、私の耳にふぅっと息を吹きかける。


「やだっ。やめてよ」


やだやだ!


本当にやだ!


やっぱりこの人、最低!


必死に先輩を押し返していたその時。



ガチャッと、玄関のドアが勢い良く開いた。
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