トレモロホリディ
もしかして私も、これから壮真君にクギを刺されるのかな?


事情は知ってるし、必要ないんだけどな…。


「でも、俺な。

美菜ちゃんには、それを言う必要ないかなって思ってるんだ」


「へ?」


想像もしていなかった言葉に、目がまん丸になってしまう。


言う必要がないってことは、つまり。


私には、彼がゲイだと教える必要がないってことだよね?


な、なんで?


「美菜ちゃんなら、アイツを変えてくれそうな気がするから」


「え…?変える?」


変えるって…。


ゲイの湊君を、ノーマルに変えるってこと?


「もしかしたらアイツのこと、救ってくれるんじゃないかって思ってる」


にっこり笑う壮真君に、私は思いっきり困惑した顔をして見せた。


「えっ。変えると救うとか。

言ってる意味が全然わからないんですけど」


なんで私が湊君を?


さっぱりわからない。

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