トレモロホリディ
高3になって、クラスは別々になったんだけど。


めぐるとは休憩時間や放課後に、よく一緒に過ごしてたよ。


昼休憩は屋上で、放課後は彼女の家の近所の海岸でね。


高3だったこともあって、やっぱり将来について話す機会が多かったんだけど。


めぐるはね、どうやら東京へ出たいみたいだった。


しかもね、芸能関係の仕事をしたいって、そう言うんだ。


それも裏方じゃなくて、テレビに出る側の仕事をしたいってね。


田舎しか知らない俺にとって、東京ってだけで遠い世界のことのように思えるのに、さらに芸能界って…。


夢物語のように聞こえたけれど、めぐるはどうやら本気のようだった。


瞳をキラキラさせて、自分の夢について語るめぐるが、俺にはすごく眩しかった。


輝いて見えたよ。


その点俺は、将来何がしたいのか、全然見えてなくて…。


だからね、彼女の夢を応援しようと思って。


俺に出来る限りのことは、協力してあげたいって思うようになったんだ。


その頃からかな。


めぐると一緒にファッション雑誌や、ヘアカタログを沢山見たよ。


めぐるに一番似合う髪型や髪色の研究をしたり、彼女に一番似合いそうな形や色の服を探したりね。


俺が女の子の服装や髪型にちょっと詳しいのは、実はその時に読んだ大量の雑誌の知識があるからなんだ。

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