トレモロホリディ
二人の顔をハッキリと見た瞬間、ドキッと心臓が跳ね上がった。


無理もない。


だって…。


その二人の男性が、まるで少女漫画に出て来るかのような整った顔立ちだったから。


特に金色の髪の男の子は、毛穴が全くないんじゃないかと思うくらい、まるで陶器のような美しい肌だ。


「穂波さん、女の子雇ったんだね~。

今まで男ばっかだったのに」


赤い髪の男性が穂波さんに話しかける。


「そうなの。

やっと見つかった貴重な女の子なんだから、仲良くしてあげてね」


「ふーん」


赤い髪の人とバチッと目が合ってなんだか照れくさかった私は、水を取りに行ってそっと彼らの前に置いた。


「ご注文はお決まりですか?」


なるべく平静を装って聞いてみると、


「俺、朝定食」と赤髪の人が言った。


「あ、俺も朝定食で」


隣の席の人が口を開いた途端、ハッとした。


こ、この人ってもしかして……。


金髪にピアスに色白な肌。


そうだ。


間違いない。


アパートの隣の住人だ!

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