トレモロホリディ
私がガン見していたせいか、その視線に気づく金髪君。


ん?という顔をした後、「あ…」と口を開いた。


どうやら彼も私の存在に気づいたらしい。


何か声をかけるべきかな?


でも…。


大量のティッシュの箱を持って行ったあの日の自分が思い出されて、急激に恥ずかしさがこみ上げる。


この前はどうも~。


こんなところで会うなんて、奇遇ですねぇ。


さて、なんて声をかける?


困ったまま立ち尽くしていると。


「ミナちゃーん」


厨房に立つ穂波さんに呼ばれた。


「「はい」」


ん?



あれ?


気のせいかな?


今、誰かと声がハモらなかった?


「ミナちゃん…?」


穂波さんが暖簾から顔を出す。


「「はい」」


うぉっ!


またハモったぞ!!


ハモったのは金髪君だ。


え、どうして…?


「あぁ、ごめん。

私が呼んだのは、女の子の方のミナちゃんよ」


きょとんとする私と金髪君。


「ふふっ。

そうよね。

二人ともミナちゃんだもんね。

返事しちゃうよね」


えー、もしかして…。


金髪君もミナっていう名前なの?

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