トレモロホリディ
「なんか俺ばっかりで悪いから、俺も美菜ちゃんの応援がしたいな」


「え?」


「協力したいな。

何か、踏み出す一歩」


湊君が優しい瞳でにっこり笑う。


そう言ってもらえるのはすごく嬉しいけど。


私には、特に何もないなあ…。


「美菜ちゃんさ、前に言ってたよね。

沢山の企業を受けたって。

会社勤めがしたいの?」


湊君の質問に、目がパチパチしてしまう。


「そ、そうだねー。

昔からね、なんとなくこう…都会で働く女性をイメージしてたの。

スーツとかビシッと着たりしてね。

まぁ、いわゆるOLさんかな。

でも、そんな漠然としたイメージだったのが良くなかったのかもね。

こんなことがやりたいっていう、強い意志がなかったから…」


何でもいいからとにかく就職って、やみくもに色々受けちゃったけど。


今思えば、それが間違いだったのかもしれない…。

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