トレモロホリディ
そう言ってもらえると、なんだか勇気が湧いて来るなあ。


「本音を言うとね。

美菜ちゃんには、ずっとこのお店に居て欲しいけど。

でも、そうも言ってられないわよねー」


「あ…」


そうか…。


もし採用されたら私、このお店を辞めなくちゃいけないんだ…。


「やだ。そんなしんみりした顔しないのー」


穂波さんがよしよしと頭を撫でてくれる。


「で、でも…っ。私、このお店が大好きだから…」


「ふふっ。ありがとう。

大丈夫よ。

私が元気でいる限り、ずっとここにいるつもりだもの。

いつでも食べに来てくれたらいいわ」


穂波さんは優しい。


こんな素敵な人に巡り合えた私は幸せ者だ。


この街に引っ越して来て。


本当に良かった…。

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