トレモロホリディ
「えぇっ?美菜ちゃん!

どうして泣いてるの~?」


焦ったような顔をして、顔をムクッと起こす湊君。


い、いけない…。


また勝手に涙が流れてた。


「ご、ごめん。

湊君が励ましてくれるから。

嬉しくて…。

それで…」


「え…?

あっ、あぁ。なぁんだ。

そか。

悲しくて泣いてるんじゃないんだね。

良かった」


そう言うと湊君はホッとした顔をして、私の頭にそっと手を置いた。


その手は大きくて、温かくて、心地いい。


しばらくじっと置かれたままの手だったけど。


湊君は何を思ったか、その手をゆっくりと動かし始めた。


まるで猫を撫でるような手つきで、湊君が私の頭に何度も触れる。


その感触がすごく気持ち良くて、なんだか目がトロンとしてきてしまう。


そんな私を見つめながら、湊君はにっこりと微笑んでいた。
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