トレモロホリディ
ピンポーンとインターホンを鳴らす。


もう何度、このボタンを押しただろうか。


いつ行ったって、


湊君は笑顔で私を迎えてくれる。


この瞬間が


とても好きかもしれない。


私が部屋に入ると、


湊君はすぐにテーブルにある画材道具を片付け始める。


私はそれをベッドの上に座って、


ぼんやり眺めている。



住人のほとんどは、



仕事や学校へ行って誰もいない



このアパートの一室で。





私と湊君だけの時間が始まる。

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