トレモロホリディ
な、なな、なんで…?


思わず悲鳴を上げてしまったけど。


それは、虫とかそんな物騒なものじゃなかった。


足元で、私を見上げる大きな瞳。


ふわふわの茶虎。


すごく小さくて、ぬいぐるみみたいで。



「ニャーーー」



高い声で鳴いて、その可愛い子は私の脚に絡みつく。


その姿に胸がキュンとして、思わずその子を抱き上げた。


「あなた、どこから入って来たの?」


あぁ、そうか。


窓を開けっぱなしにしていたから、ベランダから入って来たんだ。


でも、なんで?


ここ2階だよ?


端の部屋でもないのに。


そんなことを思っていたら、


ピンポーンとインターホンが鳴った。


あ、やばい……。


大きな悲鳴を上げちゃったから、誰かがうるさいって苦情を言いに来たのかも。


それは確かに申し訳ないけど。


でも、


ここのアパートって全員男の人なんだよね?


今ここで出て行ったら、女のひとり暮らしってバレバレじゃん。


えーん、どうしよう。


困って一人でうろたえていたら、またインターホンが鳴った。


うぉーーー。


もう観念するしかないのか?


子猫を抱っこしながら、ドアスコープを覗き込むと。


「ん?」

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