トレモロホリディ
小さなドアスコープに映し出されたのは、サラサラな金色の髪。


風でゆらゆらと揺れて。


すごいな。


ドアスコープから見ても、こんなに美しいなんて。


って、見とれてる場合じゃないっつうの!


私はガチャンとドアを開けた。


「あ……」


彼は私に挨拶をするでもなく、少し間抜けに口を開いた。


「やっぱ来てた」


「え?何が」


「それ」


彼の視線と、彼の人差し指が指し示す方向にあるのは、


私が抱っこしているそれだった。


「え?この猫ってもしかして」


「そう。俺が飼ってる猫」


えーーー?

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