トレモロホリディ
「しばらくの間だけだから、誰にも秘密ね?

今、飼ってくれる人を必死に探してるところだから」


「え、そうなの?」


「うん。

今月の初めだったかな。

仕事帰りに公園を通りかかったら、ベンチの下にそいつが捨てられてたんだ。

段ボールに入れられて。

今にも死にそうだったから、連れて帰ったんだ」


そうなんだ。


この猫ちゃん、捨て猫だったんだ。


「捨てちゃうなんて可哀想。

こんなに可愛いのに……」


思わずぽつり呟いたら、ミナト君がくしゃっと笑った。


「だよね?

こいつ、めちゃめちゃ可愛いよね?」


うっ。


なんなんだ、その無邪気な笑顔は。


この猫ちゃんに負けず劣らず可愛いじゃないか!


そんなこと、本人には絶対に言わないけど…。

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