トレモロホリディ
誕生日前日
その日は、湊君も私もなんだかあまり寝付けなくて。


二人で何度も寝返りを打っていた。


向かい合うたび、クスッと笑って。


その瞬間が、泣きたいほどいとおしかった。


なんとか眠れたけれど、いつもより遅い時間に起きてしまったから。


セットしておいた炊きたてのご飯と、ささっと作った豆腐とワカメのお味噌汁と。


以前作り過ぎて冷凍しておいた餃子を焼いて食べた。


ありあわせの夕飯でも、湊君は満足そうに食べてくれる。


それが嬉しかった。


食事も終わり、準備が整うと。


いつものように、いつもの道を、二人で歩いた。


昼間降った雨は既に止んでいたけれど。


狭い道に大きな水溜りが沢山出来ていた。

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