トレモロホリディ
「壮真君。

湊君…、お店に来てる?」


席に座るなり、尋ねた。


私は息が上がっていて、肩で息をしていた。


壮真君はしばらく黙って私を見つめた後、ふぅと息を吐いた。


「美菜ちゃん…」


少し低い声になる壮真君。


ドクンと心臓が跳ね上がる。


壮真君がこれから言おうとしていることが、


なんとなくわかってしまって…。



どうしよう。


私。


どうしたらいいんだろう。



「湊ね…。


今日も


来てないんだ…」



ギュッと目を閉じる。


あぁ。


やっぱり…。


やっぱり、そうなんだ…。


戻って…来れなかったんだね…。


「ごめんな…。

さすがに今日は、説教したんだけどさ。

めぐるちゃん、相当具合いが悪いらしくて…」


壮真君の声が、なんだか遠くから聴こえてくるみたい。



「アイツ。

美菜ちゃんと、約束してたのにな…」


「うん…」


したよ。


約束。


一緒にお祝いしようねって…。



「まぁ、でもさ。

今回はしょうがないっていうか。

アイツ、めぐるちゃんとやり直すとは言ってなかったし。

またチャンスはいくらでもあるよ。

だから、諦めずにもう一回頑張ろうよ」

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