トレモロホリディ
「話は変わるんだけどさ。

お前の誕生日に、美菜ちゃんがウチの店に来てくれたよ」


俺の言葉に、湊の表情が一瞬だけ変わる。


「美菜ちゃんが…?」


「うん。

俺らスタッフに差し入れしてくれたんだ。

ロールキャベツとカップケーキ」


「ロールキャベツ…?」


「うん。

本当にお世辞抜きでさ、すげーうまかった。

キャベツが甘くてトロトロでさ、中の肉汁がすげーの。

カップケーキもプロが作ったのかよって思うくらいうまくて。

スタッフ全員で取り合いになった」


あれ全部、お前のために作ったんだと思ったら…。


なんか泣けてきたよ。


お前を想って、愛情込めて作ったんだと思う。



それなのにお前は、



その約束を破ったんだよ…。

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