トレモロホリディ
遮光カーテンをピシャッと閉めると。


ベッドにゴロンと横になって、掛け布団に絡みついた。


美菜ちゃんがいないダブルベッドは、


当然だけどすごく広くて。


その空いたスペースが、なんだか憎らしかった。


真ん中に寝てもいいのに、いつもみたいに壁側で寝た。


壁にそっと触れてみる。


美菜ちゃんはこれから、昼間は仕事でいなくて、夜寝る生活になるんだね。


夜は、何時に帰るのかな。


誕生日のこと、謝りたいのに。


いつ、会えるかな…。




なんだかあまり寝付けないまま、もう起きないといけない時間になっていて。


俺はムクッと身体を起こした。


連日、めぐるの部屋の床の狭いスペースで寝ていたせいか、なんだかひどく疲れていた。


今日は、筋トレする気になれないな…。


っていうか、すげーお腹空いた。


「美菜ちゃーん。

お腹空いたぁ~」


目を擦りながら言った。


だけど、シンとしている俺の部屋。


「あれ?」


目をちゃんと開けると。


部屋の中にいるのは、俺一人だけだった。


あ、そうか。


美菜ちゃん、いないんだっけ…。


弁当買って来なきゃな…。


「ふぅ…」


なんか。


自分ひとりの為に買い物に行くのって…。


面倒くさい…。

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