トレモロホリディ
「いちいち色んなことに口出しするでしょう?

ちょっとうざいよ、そういうの…」


「そんな!俺はただ…」


めぐるに協力してあげたいって思ったから。


めぐるのために良かれと思って…。


「私は私のやりたいようにやるから、

そういうことにはあまり口を出さないで。

そばにいてくれたら、それで充分なの。

疲れた時に、思いっきり甘えさせて欲しい…。

私が湊に望むのは、ただそれだけだよ…」


なんだよ。


それ…。


「ねぇ…」


「なに?」


「もしかして…。


俺の前から突然消えたのって…。


俺のことが、


うざかった…?」


俺の問いに、めぐるが俺に背を向ける。


そういう態度って…。


イエスって言ってるようなものじゃないか。


「そうなんだろ?」


くるっと振り返るめぐる。


少し顔が怒っていた。


「私は、優しい湊が好きなんだもん。

一緒にいてくれたら、それだけで疲れはどこかに飛んでいくの。

それだけで充分なのに。

それなのに食事がどうだとか、運動しろとか。

服装や髪型だって。

湊のセンスはすごいと思うけど、でも私は好きなようにしたい。

仕事に関しては、口を出さないで。

私のやりたいようにやらせて欲しい」


めぐるから出て来た言葉は、


なんだかあまりにも残酷で、


俺はハンマーか何かで、頭を殴られたような気分だった。



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