トレモロホリディ
「本当は別れたかったんじゃないの?」


「え…?」


「めぐるに付いて上京した俺が、重くなったんじゃないの?


だから適当なことを言って、俺の前から姿を消した。


違う…?」



「湊…」



「だけど…。


慣れない芸能界で、ちょっと寂しくなって。


甘えたくなって。


それで俺を思い出したんじゃない?


本当は忘れてたのに…。


待っててっていうあの手紙の言葉は。


単なるキープっていうか。


保険だったんじゃないのか?」


俺の言葉に、めぐるが目に涙を溜める。


すぐ…。


すぐそうやって泣くんだ。


泣いて誤魔化して。


俺の判断を鈍らせるんだ!

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