トレモロホリディ
「そうだ。いい考えがある」


美菜ちゃんがきょとんと首を傾げる。


「俺のマンションに引っ越してくれば?」


「え、えぇっ!」


美菜ちゃんが身体を大きく仰け反らせた。


そりゃまぁ、ビックリするだろうけさ。


「俺さ、この駅から2駅先の駅前のマンションに住んでるんだ。

すぐ電車に乗れるし、通勤がラクになるんじゃない?」


「いや、あの…。

そ、そうかもしれないけれど」


「俺のマンション、一人にしては広すぎるんだ。

部屋も余ってるし。

だから、好きに使ってくれていいよ」


湊も会社の寮を出たばかりの頃、俺のマンションにしばらく住んでたしな。


「で、でも。そんなの…」


「基本、生活は逆じゃん。

俺は夜いないし、美菜ちゃんは昼いないだろ?

ほとんど会えないから、遠慮なく使ってくれていいよ」


「う、うーん」


美菜ちゃんの性格からして、そういうのは無理かなー。


警戒もするだろうしな。


でも、もし住んでくれたら。


すげー嬉しい…。

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