トレモロホリディ
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裏方担当のサンちゃんと、世間話をしながらグラス拭きをする。


俺は結構、裏方の仕事が好きで、お客さんがいない時間は、こうして手を動かしている。


本来こっちの仕事の方が、自分には合っていると思うんだけど。


「おい、湊」


カウンター席に座って、何やら雑誌に目を通していた壮真君が急に俺を呼んだ。


「これ、見てみ」


そう言って、俺に雑誌を見せる壮真君。


「なんです?」


グラスを拭きながら、顔だけ雑誌に向ける。


「この子だろ?めぐるちゃん」


「え?」


目を凝らしてよく見てみると、雑誌の広告ページに、例の洗顔料のCMのめぐるが他のモデルと共に載っていた。


「あー…、そうですね」


「こうしてじっくり見ると、かなりレベルの高い顔だよな」


壮真君が感心したように呟く。


「えっ、そのモデルさんがどうかしたんですか?」


「サンちゃん。

聞いて驚け。

この子、湊の彼女なんだ」


壮真君の言葉にサンちゃんが大きく目を見開いた。


「うぇぇ~?マジっすか!

すんげー可愛いじゃないですか!

モデルさんなんスか?

さすが湊さんっス。

うぉ~、うらやましいぃ~」


興奮気味に雑誌に見入っているサンちゃんを見ながら、俺ははぁと息を吐いた。

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