トレモロホリディ
あれ以来…。


俺はめぐるに連絡していない。


毎日のように、メールや電話が来るけど。


返信する気も、折り返す気も起きなくて、


ずっと無視し続けていた。


正直、もうすっかり気持ちは冷めていた。


自分でも、驚くほどに…。


あんなに会いたかったのに。


あんなに忘れられなかったのに。


今は、怒りと悲しみしか湧いて来ない。


なんだかこの頃、部屋に帰るとひたすら横になってしまう。


仕事で無理にテンションを上げているせいなのか、やけに疲れてしまって。


絵を描く気力も残っていないし、筋トレをする元気もない。


深く眠れたらいいのに頭が休まらず、


いくら寝ても疲れは取れなかった。


この仕事…、俺にはやっぱり向いていないのかな…。


そんなことを思っていたら、壮真君のポケットからスマホの着信音が鳴り始めた。

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