トレモロホリディ
美菜ちゃんの澄んだ目が、少し大きくなる。


「美菜ちゃんがいないことが、こんなに寂しいなんて思わなかった。


ダブルベッドが、あんなに広いなんて思わなかった。


美菜ちゃんの手料理が、死ぬほど恋しくて。


会えないことが苦しくて。


何をやってても、心が晴れないんだ。


仕事もうわの空で。


もう、絵もずっと描いてない。


バカだけど…。


こんなになってから


やっと


自分の気持ちに


気付いたんだ…」


俺は一歩だけ美菜ちゃんの近くに寄った。


美菜ちゃんはただ真っ直ぐに


俺の顔をじっと見つめていた。

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