トレモロホリディ
美菜ちゃんは俺の目の前に立っていて、


そこから一歩も動いていないはず。


じゃあ…。


一体誰が俺の足を触ってるんだ?


ふ、古いアパートだしな。


最近疲れていたし。


見えちゃいけない存在を


感じる体質になっちゃったとか?


その感触は右の足から左の足へと、撫でるように移動していく。


ゾーーーッと背中に悪寒が走る。


こ、こえぇぇぇっ!


目が開けられねーーー!


恐ろしくてすっかり固まっていたその時だった。




「ミャ~」



へっ?



ミャー?



「あ、こらっ。ミナト!」


美菜ちゃんの叫ぶ声。


み、みなと?


美菜ちゃんが俺を呼び捨てにするのは初めてじゃね?


っていうか俺、なんで叱られてんの?



なんか、変だよね?



恐る恐る片目だけ開けてみると。




「あ…」

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