トレモロホリディ
湊君の視線がゆっくり動いて、バチッと視線が絡み合う。


こんなふうに湊君に見下ろされるのは、初めてだ。


こんな状況になったことは、一度もないもの。


こうしてじっくり見てみると、湊君の顔ってすごく小さい。


この小さな面積の中に、優しい目と、スッと通った高い鼻と、綺麗な形の唇がバランス良く完璧におさまっているんだ。


肌はスベスベで綺麗で、毛穴なんて全然見えないし。


すごいなあ…。


「美菜ちゃん…」


「は、はいっ」


まずい。


すっかり見とれてたのが、バレた?


「も~~~、可愛い~~~っ」


そう言って、ぎゅーーーっと私を抱きしめる湊君。


な、なんだなんだ?


「やっぱ続きしよ~っと」


「へ?」


パチパチと瞬きをしていると、湊君はまた私の唇に唇を重ねてしまうのだった。

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