トレモロホリディ
「電話、誰からだったの?」


カウンターに立ったと同時に、仏頂面の壮真君に質問された。


「あ、えと…。

美菜ちゃん…」


ボソッと呟き、なんとなく目の前にあったお酒のボトルを手にした。


「ふぅん。いいねぇ…」


はぁと深いため息をつく壮真君。


ここ数日、壮真君はとてもテンションが低かった。


それもそのはず。


俺が美菜ちゃんと付き合うことになったと報告したからだ。


めぐると再会したことで、美菜ちゃんがいかに大切な人だったかわかったと、俺は正直に打ち明けた。


壮真君は、良かったなと言ってくれたけど。


あの時の悲しそうな瞳が忘れられなくて、なんだかいたたまれない。


壮真君は、以前から俺達のことを応援してくれていたそうなのだけど。


応援しているうちに、美菜ちゃんに惹かれたのだと話してくれた。


俺がめぐると付き合うことになったと聞いて、急激に気持ちが高まったらしくて。


それが一気に急降下したものだから、相当ダメージを食らっている様子だ。

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