トレモロホリディ
湊君と社長の面談は予定の1時間を大幅に過ぎて、湊君が受付に現れたのは11時半を回っていた。


どうだった?と聞きたかったけれど、他のお客様の応対に追われていたので、アイコンタクトをするのが精一杯だった。


お昼を一緒にしたかったけど、湊君は帰って寝ないといけないからそうもいかないし。


なんだか寂しくてシュンとしてしまう。


そんななか迎えたお昼休み。


今日はお弁当も用意していないし、どうしようかなと思っていたら、受付に久遠社長が現れた。


「澤井さん。今日お昼予定ある?」


「いえ。今日は誰とも約束してないんです」


何食べようかな。


お弁当でも買って来ようかな。


「じゃあ、僕と下で一緒にお昼を食べないか?」


「えぇっ?」


久遠社長と食事?


そ、そんなの、ものすごく緊張するんですけど。


「遠野君のことで、澤井さんに話しておきたいことがあるんだ」


湊君のこと…?


そ、それはぜひ聞かなくては!


そう思った私はバッグを手に持って、社長と共にエレベーターに乗り込んだのだった。

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