トレモロホリディ
「久遠社長ってすごい方だね。

あくまで俺の自由に描いていいって言うんだ。

変にプレッシャーをかけないようするためなのかな?

もし間に合わないならそれでも構わないから、とにかく描けるところまで描いてみて欲しいって…」


「え…?

間に合わなくてもいいって、そうおっしゃったの?」


「うん。

一応、目星を付けている絵があるにはあるらしくて」


「そうなんだ…」


もし間に合わなければ、飾ってはもらえないってことなんだね…。


でも、もし間に合って、久遠社長に気に入ってもらえたら…。


「俺、せっかくのチャンスだし、頑張ってみたいんだ。

カフェのコンセプトを見ていたらね。

とても温かいイメージが伝わって来たんだ。

そこに行くとなんだかホッと癒されるような…。

だから俺ね、明るくて優しい絵にしようと思ってるんだ」


湊君の瞳がすごくキラキラしている。


湊君は絵のことを考えている時が、やっぱり一番輝いているよね。


嬉しくて胸が熱くなっていたら。


「美菜ちゃん」


名前を呼ばれた直後、湊君に抱きしめられた。

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