トレモロホリディ
「良かったね!湊君。

本当に良かったね」


思わず湊君の腕をガシッと掴んだ。


仕事もしながらだったし、睡眠時間も削って、ずっと頑張ってたもんね。


その努力が報われたんだ…。


誰の目にも触れず眠っていた湊君の絵の才能が、


こうして社長の目に止まって、認められて。


カフェに絵を飾ってもらえるなんて…!


「み、美菜ちゃん!

どうして泣いてるの~?」


私の顔を見た湊君が、ビックリした様子で私の頭をポンポンと撫でる。


「だ、だって…。

すごく嬉しいんだものー」


社長が目の前にいるのに、私はおいおいと泣いてしまう。


恥ずかしいけど、もうそれは止まりそうにない。


よしよしと頭を撫でる湊君の目にも、うっすら涙が溜まっているようだ。


そんな私と湊君を、社長は優しい瞳で見つめていた。

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