トレモロホリディ
「そうか。なるほどね」


社長が急に口を開いた。


「この短期間に3枚もこんな素晴らしい絵を描けたのは、澤井さんの支えがあったからなんだね」


フッと、社長が殺人級の微笑みを見せる。


「すごく良い関係だね」


社長にそう言われると、なんだかすごく恥ずかしい。


でも…。


とっても嬉しい…。


「彼女がいなかったら、僕はとてもじゃないけど、完成させることは出来ませんでした。

この3枚の作品は、ふたりで描いたようなものです…」


湊君がそんなことを言うから、止まっていた涙がまた洪水のように流れ始めてしまった。


「二人とも本当にありがとう。

大切にするからね。

店舗に飾るのが本当に楽しみだよ。

じゃあ早速部下を呼んで、絵を車に運ばせてもらうね」


社長の言葉に、湊君ははいと頷いた。

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