トレモロホリディ
「「て、転職…っ?」」


思わず私と湊君の声がハモってしまう。


「ウチの会社にね、お店のディスプレイデザインや小物のコーディネイトなんかを専門にしている部署があるのよ。

その部署にね、ぜひ遠野君をスカウトしたいって思ってるの」


「えっ、俺ですか?」


湊君が信じられないという顔をしている。


そんなの私だってビックリだよー。


「あなたの絵を見て感じるもの。

ものすごくセンスが良いって…。

ねっ、社長」


人事部長の言葉に、社長がうんと頷く。


「キミのセンスは確かだと思うよ。

僕からもぜひお願いしたいな。

もし良かったら、僕らと一緒に仕事をしないか?」


湊君がチラリ私を見つめる。


ど、どうなんだろう。


湊君…、転職する気あるのかな?

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