トレモロホリディ
食事が終わった私とミナト君は、中華料理屋を後にしてバスに乗り込んだ。


さっきの“あ~ん”が恥ずかしかった私は、まだ胸がドキドキしていた。


一体何を思って、ミナト君はあんなことをしたのかな?


「ああいう女の子は苦手だな」


窓の外を見ていたミナト君が突然口を開いた。


「え?もしかして、中華料理屋さんで隣の席だったOLさん?」


「うん」


「なんか、ごめんね。
私のせいで色々言われちゃったみたいで」


明らかに不似合いなのはわかるし、私は大丈夫だけどミナト君に申し訳ない。


「ミナちゃん」


「はい?」


「なんでミナちゃんが謝るの?
ミナちゃんは悪くないのに」


ミナト君が珍しく頬を膨らませた。


「俺が一緒に居たいからミナちゃんと一緒にいるのに、なんでとやかく言われないといけないの?

ムカついたから見せつけてやった」


そうだったんだ。


だから、あんなことしたんだね。
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