トレモロホリディ
残った紙袋を片手に自分の部屋に戻ると、積み上げた段ボールの横にペタンと座った。


ここのアパート、私以外全員男の人だったなんて。


そうだよね。


こんな古い外観のアパートに、女の人が住むはずないもの。


粗品を沢山買い込んだ自分がなんだか恥ずかしい。


それにしても隣の人……。


見た目は派手だったけど、結構親切な人だったな。


薄暗くてよく見えなかったけど、スラッと背が高いし、結構整った顔立ちだった気がする。


最初に会った人があの人でよかったな。


もし他の人だったら、何も教えてくれなかったかもしれないもの。


とりあえず、そう思った私だった。

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