トレモロホリディ
「どうしたの?ミナちゃん。なんかぐったりしてない?」


いつもの道を歩いていると、ミナト君が言った。


「それがね、部屋のエアコンが壊れたの。

頭に氷枕を敷いてみたりしたんだけど、やっぱりうだるように暑くて。

扇風機かけても熱風だし、ちょっときつかったよ」


「マジで?管理会社には連絡した?」


「うん。今、大家さんにかけあってもらってる。

相当古いエアコンだから、取り替えるみたいだけど」


「あの大家かぁ」


ミナト君がうーんと唸る。


「あのアパートの大家さん、なかなか動かない人なんだよ。

もしかしたら、当分直してもらえないかも」


「えぇっ?」


うそですやーーーーん!!!


「昼間寝ないとバイトしんどいよね。

こんな暑い時期にエアコン効かないって最悪だよ」


「はぁー、どうしよう。困ったなあ…」


安いところを借りると、こういうトラブルがつきまとうのかなあ。


前のアパートの時は、こんなこと一度もなかったもの。


「ねぇ、ミナちゃん」


「ん?」


「エアコン直るまで、俺の部屋で寝る?」


「は?」




今、なんて言った?



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