トレモロホリディ
次の日、仕事を終えてアパートに戻ると、私はシャワーと食事と歯磨きを済ませた。


さて…。


おいでと言われたものの、本当にいいんだろうか。


エアコンが作動しないかもう一度スイッチを入れてみたけど、やっぱり無反応だった。


Tシャツに膝丈のパンツ。


こんなラフな服装で、あんな美男子の部屋に行くなんて。


とりあえず自分の部屋を出て、ミナト君の部屋へと向かった。


ピンポーンとインターホンを鳴らすと、ガチャンと扉が開いた。


「いらっしゃい。待ってたよ」


いつもの王子様スマイルだ。


「あのー私、自分の布団一式持って来た方がいい?」


「あー、枕と掛け布団くらいでいいんじゃないかな?」


「ん?」


つまりそれって、ソファーで寝るってことかな?


それで充分だ。


あの暑い部屋で寝ることを考えれば天国だよ。


「さ、どうぞ」


ミナト君に促され、私はついに彼の部屋に足を踏み入れた。

< 95 / 500 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop