トレモロホリディ
一旦自分の部屋に戻り、枕とタオルケットを手にする。


大丈夫よ、大丈夫。


彼はゲイなんだし、女友達の部屋に泊まりに行く感覚だと思えばいい。


エアコンの取り替えまでの、数日の辛抱なんだから。


何度も自分にそう言い聞かせ、ミナト君の部屋に再び入った。


「じゃあ、カーテン閉めるね」


そう言ってミナト君は遮光度が高いという例のカーテンを閉めた。


その途端、部屋が夜のように暗くなった。


「ホントだ。真っ暗だね」


「でしょ?俺はこれくらいじゃないと、昼間眠れないんだ」


なるほどね。


ミナト君はベッドの壁側へ行き、私は部屋側のなるべく端っこに座った。


「じゃあ、おやすみ」


そう言ってミナト君はゴロンとベッドに横になってしまった。

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