(続) 冷めた結婚
輝が、とても綺麗な女の人に肩を抱かれながら帰ってきたのだ。
「ほら、輝君!家着いたよ!」
輝君…。
したの名前で呼ぶなんて、そんなに親しい人なの…?
明るく斑なくそめられている、綺麗な茶髪の髪の毛に、小さな顔。そのベースには十分大きいぱちっとした瞳。それから抜群のスタイル。
女の私でさえ見とれてしまうくらい、綺麗な人。
「…」
何も言葉が出てこない私に、気づいたのかその人は私を見るなりペコッ頭を下げた。
「遅くなってすみません。奥様ですよね。私、輝君の高校時代の友人で榊原と申します」
少し派手めの容姿からは想像し難いきれいな言葉遣い。
なんて素敵な人なんだろう…?