(続) 冷めた結婚

「輝とは、本当にお友達なんですか?」


わたしがそう言うと、彼女は驚いた表情を浮かべて。


でも、すぐに微笑んだ。



「昔のことだから、今はもう友達です」



酷く目眩がした。


目の当たりにしてしまうと、心は思った以上に悲鳴を上げた。



「そう…ですか」



私はそれが精一杯で。



でも、彼女はさらににっこりと微笑んで家を後にした。



聞かなきゃよかった。


結果はそれとなくわかっていたはずだ。


それなのに、何故私は聞いてしまったんだろう。




元恋人。



私にはいない存在。



輝はどんな風にあの人と言葉を交わしたんだろう?


どんな風に抱きしめたんだろう?


どんな風にキスをしたんだろう?



どこへ行って、何を話して……







それから、どんな風に触れたんだろう。




< 56 / 135 >

この作品をシェア

pagetop