(続) 冷めた結婚

「だから、私の名前呼んで…?」


大人げない。

子供っぽい。


こんなの、嫉妬もいいところ。



あの人への嫉妬が収まることを知らない。



私にもそういう存在がいればちょっとはわかったのかもしれない。




輝みたいに大切で、輝を思うみたいに大好きで。



一緒に時を過ごすことができた人。


それから、今でも変わらず友達として現在の時を過ごせる人。



そんな存在が、私にもいれば理解できたことなのかもしれない。



「愛海…?」



ほらね、名前を呼ばれただけでこんなに胸がぎゅってなる。


もう夫婦なのに。


美結ちゃんっていう素敵な子供だっているのに。



なのに私はまだまだ子供の女の子で、輝を理解してあげられるようないい奥さんにもなれないし、美結ちゃんにお手本を見せてあげられるような立派な母親にさえなれていない。



あぁ、苦しいよ。



大好きだから、苦しいよ。





もう甘い甘い恋人時代も、初々しい新婚時代も過ぎだというのに。



私はなんで、まだこんななんだろう?

                 
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