(続) 冷めた結婚
「愛莉って?」
意外にも、輝は冷静だった。
愛莉さんの名前を聞いても、表情一つ変えない。
昨日のことは、覚えていないのだろうか?
「昨日、飲んできたよね?」
うん、と頷く輝。
「愛莉さんと一緒にかえって来たんだよ?」
覚えていないというような表情で、その話の先を待っているようだ。
「愛莉さんって綺麗だよね!私とは大違いでさ…」
「何がいいたいんだ?」
イライラしたり、悲しいそうだったり、不機嫌だったり、切なそうだったり、輝にはたくさんの表情があるよね。
怒ってる時の輝はちょっと怖いけど、でも、全部輝だから大好きなんだよ。
「愛莉さんって、元カノみたいだね。輝君って呼ばれてたんだ」
「はっ?」
「今は違うって言ってたけど、やっぱり大好きだった?あんなに綺麗じゃ輝と二人でいたら絵になるよね」
涙なんか流したくない。
弱い自分が大嫌い。
ここで、泣いたらそれだけで負けな気がした。