(続) 冷めた結婚
「嘘つかなくていいよ?」
仕事仲間とは今の話だと思う。
でも、それでも妬けてしまうのだ。
「嘘なんかじゃ、あー!もう!」
突然、大きな声を出す輝。
私は、思わずビックっとなる。
「なぁ、愛海?こっちむけよ」
玄関にいたはずの輝がすぐ近くにいる。
それだけでも、心臓が飛び出そう。
「やだ…」
もうこれ以上、近づいてこないで。
気持ちが溢れちゃうよ……。
泣くな。泣くな。
何度もそう心の中で自分に叫ぶ。
もうそろそろ、朝が来る。
ここで泣いてしまっては、美結ちゃんが起きてきてしまうかもしれない。
それだけは避けたい。
「愛海!」
「大きな声…出さないで……?美結ちゃんが…」
もう、だめだ。
声が完全に震え始めた。