Ｂｌｏｏｄｙ Ｄａｎｃｅ～姫と吸血鬼～

・出会い

Ｒｏｓａ

馬が走るたび馬車がゆれる。

「なんて悪い道なの？」

文句を言いながら窓枠に肘をつきながら溜息をつく
外の景色を見る限り、姫の乗っている馬車は今山の中を走っているよう。
それにしても、気味の悪い景色。今にも何か出てきそうな雰囲気だ・

「ディッダ、いつになったらお爺様のお屋敷に着くの？」

いつまでたっても着かない事に痺れを切らした姫は専属執事のディッダに問い掛けた。
彼はいつもおっとりとしていて、彼の声は癒しとも言えるほど優雅で美しい。
眠れない時、ディッダに子守唄を奏でてもらえば一発で寝れる程。

「ローザ様、そうカリカリしないでください。」

そう言い、ディッダは綺麗な碧眼で微笑みながらローザを見る。

姫の名前は第三皇女、ローザ・ランス・ビレクア。
ビレクアの皇帝を父に持つ、５人兄姉の末っ子だ。
今日はお爺様からの舞踏会の知らせを受けて屋敷に向かっているのだ。

退屈になったローザは、何気ない気持ちで窓を開けた。



それが、悲劇に繋がる道への扉を開いた事となるとは知らずに。