Bloody Dance~姫と吸血鬼~
Rosa
まだ朝日が昇って間も無い頃、ローザは静かに目を覚ました。
落ちついて部屋を見まわすと、かなり広い部屋だったことに気付く。
ローザからみて、左側には一面大きな窓。
右側には大きなドアと高そうな絵画。
そしてローザが寝ているのは一人用とは思えない大きなベット。
「こんな立派な…、どこかの貴族の方かしら?」
しばらくすると、部屋に誰かが入って来た。
「入るぞ」
入ってきたのは白衣を着た金髪の男の人。
その後からチカが入ってくる。
「気分はどうだ?」
「平気です。あの…」
「どうした?」
「その人はどなたですか?」
その人とは金髪の男の人の事。
自分の事だとわかった金髪の男は、ローザに一礼した。
「こいつは…、空気と思え」
「は?」
『ひっどいな~、せっかく遠路遥々来たのにその扱いはなにさ~』
「語尾を伸ばすな、気色悪い」
『そんな気色悪い俺を呼んだのは君だろ~?』
「…はぁ。こいつはイリオ。こんな見た目だが腕は良い医者だ」
『そしてチカの幼馴染~』
「単なる腐れ縁だ」
ひょうきんな喋り方をする金髪の男はどうやら医者で、チカの幼馴染らしい。
「お医者様?」
『そうだよ~ん』
「気色悪い」
そう言って、チカはイリオに踵落しをする。
すると、”ゴン”と鈍い音を立ててイリオは倒れる。
『いたいな~、相変わらず酷いね』
「相変わらず気色悪いな」
目の前で繰り広げられるやり取りは、ローザにとってまるで喜劇を見ているようで。
笑いを堪えるのに必死だった。
「まぁ、こんな奴はほっておいて。本題だが」
『俺が姫ちゃんの検診をするのでーっす』
「そう言う事だ。じゃ、イリオ。後は頼んだぞ」
『了解受けたまわり~』
チカはローザとイリオを残し、部屋を後にした。