Bloody Dance~姫と吸血鬼~
「気味が悪い景色でも空気は美味しいのね」
少々嫌みったらしい言い方をしているが、姫の中では一応誉めているのだろう。
外の空気を吸って気分がスッキリしたのか、姫は少しだけ窓から身を乗り出した。
その瞬間。
ガタンッッ!!!
道の石に引っかかった馬車が少し傾いた。
運悪く、傾いた方向は姫が身を乗り出していた方の窓。
その衝撃で、姫は馬車の外へと放り出されてしまった。
「きゃぁあぁぁぁ!!!!!」
「ローザ様!!!」
最後に聞こえたのはディッダの叫び声。
それを最後に、姫の意識は断たれた。