クライムハザード

 彼は一瞬目を反らし、視線を手元に落とした。シーツを握りしめる手から、布の軋む音がする。

 どのくらいだろう。

 一秒も数分のように感じる。

 ものすごく長い時間、そうしていたような気がする。

「……僕、僕は――」

 彼の頬を、涙が一筋伝う。

「僕は、やってない……っ!」

 ――えええっ!

 叫び出しそうなのを抑え、彼女の反応を待った。

「ウン。解ってるよ」

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