クライムハザード
…… b. アクム
いつものように特派のドアを開けると、待っていたのは非日常。
黒ずくめの見慣れた少女と、かっちりスーツを着込んだ見慣れない男性。
彼は、首だけをこちらに向け、まるで品定めでもするようにじとりとした目で俺を見る。それこそ、頭のてっぺんから爪先まで。
精悍な顔立ちに、眼鏡。長身だが決して恰幅がいいわけでなく、どちらかといえば細身。年は……三十代半ばといったところか。
彼の発する雰囲気は、警察学校の教官のそれに似ている。
「金森禄郎巡査、ですね」
今度は完全に向き直り、彼は口を開いた。