クライムハザード
「行くよ」
にこりと笑んで見せた彼女に、安堵を覚えたのも束の間。
ノックもなしに勢いよく開け放たれるドア。
あまりに無遠慮なその所作に、内臓が潰れる思いがした。
「特殊犯罪施策機動班、鹿羽夜魅警部補、入りまーす」
それはもうはつらつとした声が、しんと静まり返った廊下に響く。
(心臓が幾つあっても足りないぞ……)
俺の心情など察する気もないだろう彼女は、お構い無しに監察官室へと足を踏み入れる。泣き出したい気分になりながらも、俺もその後に続いた。