クライムハザード
俺の予想に反して、監察官室は小ぢんまりとしたものだった。
八畳ほどの空間に、ところ狭しと列べられたデスク。事務方らしい制服の職員が、各々パソコンに向かい作業を進めている。俺たちを気に留めるものは皆無、誰一人としてこちらに視線を向けなかった。
「イツキちゃん!」
跳ねるように床を蹴った少女は、見覚えのある人物に駆け寄り、その胴に抱き付く。
「夜魅、公私混同は止めなさい」
彼はぴしゃりと言い切り、彼女の肩を押した。そのつれない対応に、彼女は不満そうにぷっくりと頬を膨らませた。
「はぁい。すみませんでした、五十嵐監察官」