クライムハザード
壁に手を当て、それこそ手探りで足を進める。
壁紙のかすかな凹凸を指先に感じる。ずっと続いている。何処までも、延々と、果てがないような錯覚さえ覚える。
ふと、ひんやりとした感覚が指の腹に伝わる。
目を凝らしてみれば、黒いプレート。そこには、最近目にした文字の羅列。
『特殊犯罪施策機動班』。
こんな地下の、些か埃っぽい場所が、これからの俺の職場。
……ますます憂鬱。
どんよりとした空気の塊が肩や背中にのし掛かって、身体が重くなる。
その重たい腕を上げ、ドアノブを回した。